家庭菜園でいちごを育ててみたいけれど、「苗はいつ植えればいい?」「クラウンはどこまで土に入れる?」「肥料は植え付け時に必要?」と迷っていませんか。
いちごはプランターでも育てられるので、ベランダや玄関先など限られたスペースでも楽しめます。ただし、植え付けの深さや肥料の与え方を間違えると、葉は元気なのに実がつかない、株が弱る、根腐れするといった失敗につながることがあります。
特に最初に覚えておきたいのが、株元にある「クラウン」です。クラウンは葉や新芽が伸びてくる大切な部分なので、土の中へ深く埋めてはいけません。
この記事では、家庭菜園でのいちごの植え付けを中心に、秋植えと春植えの違い、苗の選び方、クラウンの位置、プランターと土、元肥・追肥、水やり、敷きワラ、病害虫対策、収穫まで順番に解説します。
初めて育てるなら、難しいことを一度に覚える必要はありません。「元気な苗を選ぶ」「クラウンを埋めない」「乾燥と過湿の両方を避ける」「肥料を与えすぎない」。まずはこの4つを押さえておけば、かなり迷いにくくなりますよ。
- 1いちごは秋植えが基本だが、春に植えられる苗もある
- 2植え付けではクラウンを土に埋めないことが重要
- 3肥料は多ければよいわけではなく、元肥と追肥を適量与える
- 4敷きワラやマルチ、風通しの確保が果実の汚れや病気予防に役立つ
家庭菜園でいちごを植え付ける基本と失敗しないコツ

いちご栽培のスタートで最も大切なのは、植え付ける時期と苗の状態、そして植える深さです。
高価な肥料や特別な道具をそろえても、クラウンを深く埋めたり、弱った苗を植えたりすると、その後の管理が難しくなってしまいます。まずは植え付けの基本から確認していきましょう。
- 秋植えと春植えの違い
- 健康ないちご苗の選び方
- クラウンを埋めない植え付け方法
- プランターと培養土の選び方
- プランターと庭・畑栽培の違い
- 一年間の管理スケジュール
いちごの植え付け時期は秋が基本|春植えもできる?
家庭菜園で一般的ないちごを育てる場合、まず検討したいのが秋の植え付けです。種苗会社の家庭向け栽培情報では10月ごろの植え付けが紹介されており、一般地では9月中旬以降から10月ごろを定植時期とする資料もあります。
ただし、日本は地域によって気温差が大きいため、「全国どこでも○月○日が正解」というわけではありません。暖地、一般地、寒冷地で適期がずれるほか、購入した苗の品種によっても違います。
そのため、実際に植えるときは購入した苗のラベルや育苗メーカーが示している植え付け時期を優先してください。
秋に植え付けるメリットは、冬に入る前に根を張らせ、寒い時期を経て春の生育につなげられることです。一季なり品種では、秋に苗を植えて冬越しさせ、春に開花・収穫する流れが一般的です。
一方、「春になってからいちごを育てたくなった」という方もいると思います。
現在は2〜4月ごろに販売される家庭菜園向け品種もあります。特に四季なりタイプには春から植えられる商品もあるため、春だから遅すぎるとは限りません。
ただし、秋植え用の一季なり品種と、春にも販売される四季なり品種では育ち方や収穫時期が異なります。「春植えできるか」を自己判断するのではなく、苗のラベルで栽培適期と品種特性を確認するのが確実ですよ。
春から育てられる野菜をいちご以外にも検討している方は、家庭菜園の春に植える野菜一覧|植え付け時期・育て方・収穫のコツも参考にしてください。
植え付け前に確認したいいちご苗の選び方
植え付け時期と同じくらい大事なのが苗選びです。
初心者の場合、種から育てるより、園芸店やホームセンターなどで販売されている苗から始める方が管理しやすいでしょう。
苗を見るときは、単に「葉が大きいもの」を選ぶのではなく、株全体を確認します。
- 葉色が自然な緑色で元気がある
- 葉に大きな病斑や変色がない
- クラウンがしっかりしている
- 株元がぐらついていない
- 根鉢が極端に乾燥していない
- 害虫が目立って付着していない
特にクラウンがしっかりした苗はチェックしたいポイントです。クラウンは株元にある短い茎のような部分で、ここから新しい葉や花房が伸びていきます。
値段だけで苗を選ぶより、これから数か月育てることを考えて健康状態を確認した方が、結果的には管理しやすくなります。
病気に強いいちご品種ならカレンベリーも選択肢
病気が心配な方は、品種の耐病性を確認して選ぶ方法があります。
代表例の一つが「カレンベリー」です。農研機構によると、カレンベリーは炭疽病、うどんこ病、萎黄病、疫病に抵抗性を持つ品種として育成されています。
ただし、「病気に強い=絶対に病気にならない」という意味ではありません。
風通しが悪かったり、病気の葉を放置したり、過湿状態が続いたりすれば、耐病性のある品種でも問題が起こる可能性があります。耐病性はあくまで病気対策の一つと考えておきましょう。
また、店頭で購入できる品種は時期や地域によって変わります。欲しい品種が必ず販売されているとは限らないため、購入時には「一季なり・四季なり」「収穫時期」「耐病性」「プランター向きか」といった表示を比較して選ぶとわかりやすいですよ。
初心者なら、珍しさだけで選ぶより、栽培地域に合っていて、育て方の説明が詳しく書かれている苗を選ぶ方が安心かなと思います。
クラウンを埋めない|いちご苗の正しい植え付け方法
いちごの植え付けで最も覚えておきたいのが、クラウンを土に埋めないことです。
クラウンは根と葉の間にある少し膨らんだ部分で、成長点があります。ここを深く土に埋めると、新芽の生育が悪くなったり、株元に湿気がたまりやすくなったりします。
逆に、根が大きく地表へ飛び出すほど浅く植えるのも避けたいところです。
植え付けは次の流れで行うとわかりやすいです。
- プランターに培養土を入れ、縁から数cm程度のウォータースペースを残す
- 苗のポットと同じくらいの植え穴を作る
- ポットから苗をやさしく抜く
- 根鉢を極端に崩さず植え穴へ入れる
- クラウンが土に埋まらない高さに調整する
- 周囲の土を軽く押さえて苗を安定させる
- プランターの底から水が流れる程度までしっかり水を与える
植え終わったあとに苗が深く沈んでいないか、もう一度株元を見てください。
「葉の付け根まで土をかぶせた方が安定しそう」と感じるかもしれませんが、いちごでは逆です。クラウンが地表に出ている状態を保ちます。
ランナー跡の向きも確認すると収穫しやすい
苗によっては、親株から伸びていたランナーの切り跡が確認できます。
いちごはランナー跡と反対側へ花房や果実が出やすい性質があるため、プランターではランナー跡を内側へ向けて植えると、果実がプランターの外側へ垂れやすくなります。
絶対にこの向きでなければ育たないわけではありませんが、果実が外側へ出ると観察や収穫がしやすく、土にも触れにくくなります。
苗を植えてから向きを直そうとすると根を傷めることがあるため、植え穴へ入れる前に確認しておくとスムーズです。
いちごのプランターは大きさだけでなく排水性も確認
いちごは一般的なプランターでも栽培できます。
家庭向けの目安として、60cm程度のプランターなら2株程度から始めると管理しやすいでしょう。株間は商品や容器にもよりますが、20〜30cm程度を確保できるものが使いやすいです。
ここで大切なのは、「できるだけ多く植えた方が収穫量も増える」と考えて詰め込みすぎないこと。
株間が狭くなると葉同士が重なり、風通しが悪くなります。水やり後に湿気が残りやすくなるので、病気の予防という意味でも余裕を持たせたいところです。
通常の横長プランターのほか、いちご専用のストロベリーポットやハーベリーポットなどを使う方法もあります。
専用容器は果実を外側へ垂らしやすいことがメリットです。一方、形状によっては土の乾き方に差が出たり、水やりが少し難しくなったりすることもあります。
初めてなら、特殊な形にこだわるより「十分な土量がある」「底穴から水が抜ける」「置き場所に収まる」「水やりしやすい」という条件を優先する方が使いやすいですよ。
プランターそのものの選び方やベランダでの配置を詳しく知りたい方は、家庭菜園 プランターで育てやすい野菜と始め方のコツも参考にしてください。
いちご専用培養土と野菜用培養土はどちらがいい?
プランターで初めていちごを育てるなら、市販のいちご用培養土、または野菜用培養土を使うと準備が簡単です。
自分で赤玉土や腐葉土などを配合する方法もありますが、水はけ・保水性・肥料分を自分で調整する必要があります。
初心者の場合は、最初から配合された培養土を使うことで「土作りが正しいのかわからない」という悩みを一つ減らせます。
ただし、培養土を購入するときは肥料の有無を確認してください。
すでに元肥が入っている商品へ、さらに規定量いっぱいの元肥を追加すると肥料が多くなる可能性があります。パッケージに「元肥入り」と書かれている場合は、追加肥料が必要かどうか商品の説明を確認しましょう。
畑や庭の土から整えたい場合は、家庭菜園 土づくりの基本と成功の秘訣もあわせて確認してみてください。
庭にいちごを植えてはいけないわけではない
「いちごは庭に植えてはいけない」と紹介されることがありますが、庭や畑での露地栽培そのものが禁止されているわけではありません。
実際、いちごは露地でも栽培できます。
ただし、プランターと違って土を簡単に交換できないため、水はけや土壌環境を事前に確認する必要があります。
特に注意したいのが、水がたまりやすい場所です。排水の悪い場所では根の周囲が過湿になりやすいため、高めの畝を作るなど排水対策を検討します。
また、果実が直接土に触れると泥で汚れやすくなります。雨の跳ね返りや雑草を抑える意味でも、敷きワラやマルチを使うと管理しやすくなります。
プランター栽培には「土を管理しやすい」「移動できる」「少ない株数から始められる」というメリットがあります。
一方、庭や畑では広い面積を使って株数を増やしやすいことがメリットです。
どちらが正解というより、あなたが管理しやすい方法を選ぶことが大切です。
家庭菜園のいちご年間スケジュール
いちごは植えて数週間で収穫する野菜とは違い、秋植えの場合は冬越しを含めて長く付き合う植物です。
先の作業をざっくり把握しておくと、「今は肥料を与える時期?」「ランナーを残していい?」と迷いにくくなります。
| 時期の目安 | 主な作業 |
|---|---|
| 秋 | 苗選び、植え付け、活着までの水分管理 |
| 晩秋〜冬 | 枯れ葉の整理、乾燥チェック、必要に応じて追肥、冬越し |
| 2〜3月ごろ | 生育再開に合わせた追肥、古葉整理、マルチや敷きワラの確認 |
| 春 | 開花、人工授粉、ランナー整理、果実管理 |
| 春〜初夏 | 成熟した果実から収穫 |
| 収穫後〜夏 | ランナーから子株を育てる場合は苗作り、暑さ・水切れ対策 |
実際の時期は地域や品種、一季なり・四季なりによって変わります。カレンダーだけで判断するのではなく、葉や花、気温の変化も一緒に観察してください。
家庭菜園のいちごを元気に育てる肥料・水やり・病害虫対策

植え付けが終わったら、次に大切になるのが肥料と水の管理です。
「甘いいちごにしたいから肥料を多くしよう」「水を減らせば糖度が上がりそう」と考えたくなりますが、どちらも極端な管理はおすすめできません。
家庭菜園では、まず健康な株を維持して、花と果実を安定して育てることを優先しましょう。
- 元肥と追肥の考え方
- 水やりの正しいタイミング
- 敷きワラ・マルチを使う理由
- 人工授粉とランナー管理
- 害虫を早く見つける方法
- うどんこ病・灰色かび病などの予防
- 収穫時期の見分け方
いちごの肥料管理|植え付け時の元肥は控えめに
いちごは長期間育てるため肥料が必要ですが、肥料を多く与えればよく育つ植物ではありません。
肥料濃度が高すぎると根を傷めることがあるため、元肥は控えめに考えるのがポイントです。
市販のいちご専用培養土や元肥入り野菜用培養土なら、すでに必要な肥料が配合されている場合があります。まず袋の表示を確認しましょう。
追加する場合は、いちご用として販売されている緩効性肥料など、ゆっくり効くタイプが扱いやすいです。
ここで気をつけたいのが、「実を甘くしたいからリン酸を大量に与える」という考え方です。
リン酸は植物の生育に必要な三要素の一つですが、多く入れれば果実が必ず甘くなるわけではありません。窒素・リン酸・カリのバランス、根の状態、日照、気温、水分、品種など複数の条件が関係します。
初心者なら「甘くする肥料」を探し続けるより、いちご用肥料の規定量を守る方が失敗しにくいですよ。
追肥はいつ?植え付け後と休眠明けが目安
秋に植え付けたいちごでは、植え付け後しばらくしてからと、冬の休眠から生育を再開する2〜3月ごろに追肥する方法が一般的です。
例えばタキイ種苗の家庭向けプランター栽培では、植え付け約1か月後と2〜3月ごろの追肥が案内されています。
ただし、使用する培養土や肥料によって効いている期間が違うため、「11月になったから必ず追加する」と機械的に考える必要はありません。
肥料のパッケージに書かれている使用量、使用間隔、対象植物を確認し、その範囲内で管理してください。
追肥するときは、肥料をクラウンや根へ直接触れさせないことも大切です。株元から少し離した位置に施します。
液体肥料を利用する場合も、濃く作れば効くわけではありません。指定された希釈倍率を守りましょう。
肥料を選ぶなら何を基準にする?
商品売り場には、野菜用、果実用、いちご専用、有機質入り、液体肥料など多くの商品が並んでいます。
迷ったときは、次の順番で確認すると選びやすくなります。
- 「いちご」に使えることが明記されている
- 元肥用か追肥用かを確認する
- 効き方が緩効性か速効性かを見る
- 使用量と使用間隔がわかりやすい商品を選ぶ
- 現在使っている培養土の肥料成分と重複しすぎないか確認する
初めてのいちご栽培なら、いちご専用肥料は使い方がわかりやすいのがメリットです。
一方、すでに家庭菜園をしていて野菜用の緩効性肥料を持っているなら、その商品がいちごに使用できるか表示を確認して利用する方法もあります。
新しい肥料を何種類も買い足す必要はありません。まず手持ちの資材と培養土の表示を確認してから選ぶと無駄を減らせます。
いちごの水やりは「乾燥させすぎない・濡らし続けない」
プランター栽培では、土の表面が乾いてきたら、鉢底から水が流れ出る程度までしっかり水を与えるのが基本です。
ただし、「毎朝必ず1回」「冬は週1回」と回数だけで決めると失敗することがあります。
同じプランターでも、晴天・曇天、気温、風、鉢の材質、株の大きさによって乾き方が違うからです。
水やりの前に土を見てください。
表面がまだ湿っているなら慌てて追加せず、乾いてきたらしっかり与える。この繰り返しの方がわかりやすいです。
冬はいちごの生育がゆっくりになりますが、だからといって完全に水を切ってはいけません。冬でも土が乾けば水やりは必要です。
また、開花から果実が大きくなる時期に強く乾燥させると、株へ負担がかかります。
「水を減らせば甘くなる」と考えて極端な水切りをするより、根を健康に保つことを優先しましょう。
水やりはクラウンや花を濡らし続けない
水はできるだけ株元の土へ静かに与えます。
毎回勢いよく葉や花へ水をかけると、株の中心や花の周囲に水分が残りやすくなります。特に気温が低い時期や風通しが悪い場所では、乾くまでに時間がかかります。
朝に水やりをして、日中に余分な水分が乾きやすい状態にしておくと管理しやすいでしょう。
受け皿を使用している場合は、水をためっぱなしにしないことも大切です。根の周囲が長時間過湿になるのを避けます。
敷きワラやマルチは果実の汚れと泥はね対策に便利
いちごの果実が大きくなってくると、重みで土の近くまで垂れ下がります。
そこで便利なのが、敷きワラ、マルチシート、いちご向けの敷き材です。
土と果実が直接触れにくくなるため、泥汚れや雨・水やりによる泥はねを抑えられます。また、土の乾燥を緩やかにする目的でも利用できます。
本物のワラが手に入りにくい場合は、市販の敷きワラ代用品やプラスチック製の敷材などを選ぶ方法もあります。
商品を選ぶときは「天然素材か人工素材か」よりも、株元の通気を極端に妨げないこと、果実を土から離せること、片付けやすいことを確認すると使いやすいです。
ただし、株元を厚く覆ってクラウンまで埋めてしまわないようにしてください。ここでもクラウンは地上に出しておくのが基本です。
花が咲いたら人工授粉も検討する
春になり花が咲き始めたら、実をきれいな形に育てるために受粉も確認します。
屋外では訪花昆虫によって自然に受粉することがありますが、気温が低い時期やベランダなど虫の訪問が少ない場所では、受粉が十分に行われないことがあります。
そのような場合は、毛先のやわらかい筆や綿棒を使って花の中心をやさしくなぞり、花粉が雌しべ全体につくように人工授粉します。
力を入れてこする必要はありません。花を傷めないように、やさしく行うのがコツです。
防虫ネットなどで株全体を覆っている場合は、訪花昆虫も入りにくくなることがあります。その場合は人工授粉を取り入れるなど、結実まで考えて管理しましょう。
収穫を優先する時期はランナーを切る
いちごは親株から細長いランナーを伸ばし、その先に子株を作ります。
株を増やしたいときには便利ですが、果実を収穫したい時期にランナーをたくさん伸ばしたままにすると、株の養分が分散します。
春の収穫を優先するなら、不要なランナーは株元から切り取ります。
反対に、収穫後に来年用の苗を作りたい場合は、元気な親株から伸びるランナーを利用して子株を育てることができます。
つまり「ランナーは全部悪い」のではありません。今の目的が果実なのか、苗作りなのかで扱いを変えれば大丈夫です。
家庭菜園のいちごで注意したい害虫
いちごでは、アブラムシ類、ハダニ類、ナメクジなどが問題になることがあります。
害虫対策で一番やりやすいのは、被害が大きくなる前に見つけることです。
水やりのついでに、葉の表面だけでなく裏側も確認してください。葉が不自然に縮れている、細かな斑点が増えている、ベタつく、食害跡があるといった変化は早めに原因を確認します。
枯れ葉や古い葉を放置しないことも大切です。株元を整理して風通しを確保すると、害虫や病気の異変にも気付きやすくなります。
ナメクジについては、夕方から夜間や雨の後に活動しやすいため、果実に食害跡がある場合は株元やプランター周辺も確認しましょう。
防虫ネットは飛来する害虫を減らす選択肢の一つですが、すべての害虫を完全に防げるわけではありません。ハダニのような非常に小さな害虫や、プランター周辺から侵入するナメクジには別の確認が必要です。
無農薬で育てたい場合も「観察」が基本
できるだけ農薬を使わずに育てたい場合は、まず物理的な防除を組み合わせます。
- 葉の裏まで定期的に観察する
- 少数の害虫は早めに取り除く
- 枯れ葉や傷んだ果実を放置しない
- 株間を確保して風通しをよくする
- 必要に応じて防虫網を利用する
- 果実を土へ直接触れさせない
「自然由来だから必ず安全」という考え方は避けた方がよいでしょう。食べる作物へ何かを散布する場合は、その製品の用途と使用方法を必ず確認してください。
被害が広がり、農薬を使う必要がある場合は、「いちご」に適用登録がある商品を選びます。使用時期、希釈倍率、使用回数などは製品ラベルに従ってください。
うどんこ病・灰色かび病・炭疽病などを予防する
いちご栽培では病気への注意も必要です。
代表的なものとして、うどんこ病、灰色かび病、炭疽病などがあります。
病名だけ覚えるより、まず日常管理でできる予防を続ける方が初心者には取り組みやすいでしょう。
特に意識したいのが風通しです。
株を詰め込みすぎず、枯れ葉や傷んだ葉を整理して、株の中心まで空気が動く状態を作ります。
また、果実や葉が長時間濡れ続ける状態を避け、水やりは株元を中心に行います。
病気と思われる葉や果実を見つけた場合は、そのまま株元へ落とさず取り除きます。症状が広がる場合は、原因を確認した上で適切な防除を検討してください。
病気に強い品種を選ぶことも対策になりますが、それだけに頼らず、苗選び、株間、水やり、枯れ葉整理を組み合わせるのが基本です。
家庭菜園のいちごを甘く育てるには日当たりも大切
いちごの味は、肥料だけで決まるものではありません。
品種、日照、気温、水分、株の健康状態、収穫時の熟度などさまざまな条件が関係します。
家庭菜園でできることとして、まず日当たりのよい場所を確保しましょう。
ただし、ベランダでは季節によって太陽の位置が変わります。秋には日が当たっていても、春になると周囲の建物や手すりの影が変わることもあります。
数日観察して、実際にどのくらい日が当たっているか確認してみてください。
また、葉を必要以上に取り除いて果実だけを日に当てようとするのも避けます。葉は光合成を行う大切な部分です。枯れ葉や病気の葉を中心に整理し、健康な葉は残します。
いちごの収穫時期はヘタの近くまで色づいたか確認
待ちに待った収穫。ここは家庭菜園の一番楽しいところかもしれません。
収穫の目安は、果実全体がその品種らしい色に着色していることです。
一般的な赤い品種なら、先端だけではなくヘタの近くまで色づいているか確認します。
ただし、完熟しても濃い赤色にならない品種があります。そのため「真っ赤になるまで絶対に待つ」と決めず、苗の品種特性も確認してください。
果実の裏側も見て、十分に色づいているものから収穫します。
収穫するときは実を強く引っ張らず、果柄をハサミで切るなどして果実を傷めないようにします。
完熟した実をその場で収穫できることは、家庭菜園ならではの楽しみですね。
家庭菜園でいちごを植え付ける前にそろえたいもの
ここまで読んで「結局、何を準備すれば始められるの?」と思った方もいるでしょう。
最初から道具を大量にそろえる必要はありません。
| 準備するもの | 選び方 | 初心者向けポイント |
|---|---|---|
| いちご苗 | 健康状態、品種、植え付け時期を確認 | 耐病性や栽培説明のわかりやすい苗を選ぶ |
| 培養土 | いちご用または野菜用培養土 | 元肥入りかどうか確認する |
| プランター | 十分な土量と排水穴があるもの | 60cm程度なら2株程度から始めると管理しやすい |
| 肥料 | いちご用、または使用可能な緩効性肥料・液肥 | 多く与えず表示量を守る |
| 敷きワラ・マルチ | ワラ、マルチシート、敷きワラ代用品など | 果実と土が直接触れにくいものを選ぶ |
特に初めての方なら、「苗+培養土+プランター+肥料+敷き材」までそろえれば、基本的な栽培環境を作れます。
道具を増やしすぎるより、毎日観察できる株数から始める方が失敗に気付きやすいですよ。
家庭菜園のいちご植え付けでよくある質問
いちごのクラウンを少し埋めてしまいました。植え直すべき?
クラウンが完全に土の中へ入っているなら、植え付け直後であれば株を傷めないよう高さを調整した方がよいでしょう。
無理に苗を何度も抜き差しすると根を傷めるため、株元の土を少し取り除くだけでクラウンを地表へ出せる場合は、その方法で調整します。
いちごは深型プランターでないと育ちませんか?
深型でなければ育たないわけではありません。
いちごでは深さだけでなく、十分な土量、株間、排水性が重要です。60cm程度の一般的なプランターでも栽培できます。
一方、土量に余裕のある容器は乾燥の変化が急になりにくいというメリットがあります。設置スペースや持ち運びやすさも含めて選んでください。
秋に植え忘れました。春からでも間に合いますか?
春に販売されている栽培適期の苗であれば始められる場合があります。
特に四季なり品種には春に販売されるものがあります。ただし、秋植えの一季なり品種と同じスケジュールではありません。
購入する苗のラベルに書かれている植え付け時期と収穫時期を確認してください。
植え付け直後から肥料をたくさん与えた方が早く育ちますか?
おすすめできません。
いちごは肥料濃度が高すぎると根を傷めることがあります。元肥入り培養土なら追加肥料が不要な場合もあるため、まず培養土と肥料の表示を確認します。
早く大きくすることより、根をしっかり張らせることを優先しましょう。
いちごの実が土についてしまいます
敷きワラ、マルチシート、いちご用の敷き材などを利用すると、果実を土から離しやすくなります。
植え付け時にランナー跡をプランターの内側へ向けておくと、果実が外側へ垂れやすくなるので、次に植えるときは向きも確認してみてください。
家庭菜園のいちご植え付けを成功させるためのまとめ
- 家庭菜園のいちごは秋植えが基本だが、春に植えられる品種もある
- 植え付け適期は地域と品種で違うため苗のラベルを確認する
- 苗は葉だけでなくクラウンや病害虫の有無まで確認する
- クラウンは成長点を含むため土の中へ埋めない
- ランナー跡を内側へ向けると果実を外側へ出しやすい
- 60cm程度のプランターなら2株程度から始めると管理しやすい
- いちご専用培養土または野菜用培養土なら土作りが簡単
- 元肥入り培養土へ肥料を追加しすぎない
- 肥料は多ければよいわけではなく表示された使用量を守る
- 秋植えでは植え付け後と休眠明けが追肥時期の一つの目安
- 冬でも土が乾いたら水やりが必要
- 水を極端に控えて甘くしようとしない
- 敷きワラやマルチは果実の汚れや泥はね防止に役立つ
- 開花後は必要に応じて筆や綿棒で人工授粉する
- 収穫を優先するときは不要なランナーを取り除く
- 病害虫対策は日々の観察と枯れ葉整理から始める
- 農薬を使う場合はいちごへの適用登録とラベルを確認する
- 庭植えが禁止されているわけではなく、水はけや泥はね対策が重要
- 収穫は品種本来の色に十分着色した果実から行う
いちご栽培は、「肥料を何g入れるか」より前に、植え付けの基本を守ることがとても大切です。
特にクラウンの位置は、植え付け当日にしか確認しない方も多い部分です。苗を植えたら、最後に株元をもう一度見て、クラウンが土の上に出ているか確認してみてください。
そこまでできたら、あとは土の乾き具合を見ながら水を与え、肥料を適量管理し、春の開花を待ちます。
初めてなら、まず2株程度からでも十分。苗、培養土、管理しやすいプランター、いちごに使える肥料、敷きワラやマルチを準備して、無理なく始めてみてください。
毎日少しずつ新しい葉が出て、花が咲き、実が赤くなっていく過程まで楽しめるのが家庭菜園のいちごの魅力です。春に自分で育てたいちごを収穫できたときは、きっと植え付けから育ててきた時間も含めて楽しめると思いますよ。
参考にした公的機関・種苗会社の栽培情報


